アルマイトを発注する前に知っておくべき7つの大事な事
Index目次
1.素材はアルミでしょうか?
稀ではございますが、材質がアルミではなくSUSや鉄という事があります。残念ながらアルマイト処理はアルミ以外の素材に施す事は出来ません。
2.異種金属は組み付いていませんか?
ヘリサートやブッシュが挿入された状態で材料を支給される事が御座います。アルミ以外の金属が付いた状態ではアルマイト処理を行う事が出来ません。仮にそのまま処理を行ってしまうと鉄や異種金属は電解時に溶解してしまいます。
3.表面処理は行われていませんか?
あらゆる表面処理が施された素材は剥離しないとアルマイト処理を行う事が出来ません。弊社ではアルマイト以外の表面処理の剥離は対応が出来ません。
4.ワイヤーカット・放電加工をしてませんか?
ワイヤーカットや放電加工の加工面は既に酸化皮膜が生成されている為、アルマイト皮膜が生成されません。
事前にこれらの加工工程がある事を申告頂ければ酸化皮膜の除去工程後に処理を行います。
5.電極接点についてご存じでしょうか?
アルマイト処理を行うためには必ず電極接点と呼ばれる治具に製品を固定する為に孔等が必要です。アルマイト治具についてはこちらの記事で説明しております。治具と密着している面や孔部は電解液と接触しない為アルマイト皮膜が生成されませんアルマイト皮膜が無いと困る部位で電極接点を取らないように事前に連絡を頂きご相談頂ければ電極位置のご提案をさせて頂きます。
6.シビアな寸法公差を必要とする製品はマスキングや処理後の加工をご検討ください。
アルマイト皮膜の半分は浸透被膜と呼ばれる元々アルミであった素地を溶かすように浸透する被膜と成長被膜の2層になっていて寸法変化は成長被膜のみなので
例えば20μの皮膜を円筒形状製品の外径に施した場合直径が20μ大きくなるとご理解ください。逆に孔であれば20μ孔が小さくなります。メッキや塗装と違い半分浸透被膜となっている為勘違いしやすいのでご注意下さい。膜厚込みで図面寸法を狙うのであれば、こちらのページ内で自動計算出来ますのでご確認下さい。
アルマイト皮膜は様々な素材条件の影響を受けやすい為、狙い通りの寸法変化が
起らない場合があります。以下はほんの一例となります。
- 成分的な偏析があった(一部だけ極端にアルミやその他金属の比率が高い又は低い等)
- 加工時(研磨・機械加工溶接等)において熱負荷がかかり金属組織が変化した
これらの偶発的に起こるイレギュラーな事象によって微妙な誤差が発生する事が御座います。寸法公差レンジがタイトな場合はマスキングやアルマイト処理後に仕上げ加工を行う等の対策を講じる事でシビアな寸法管理が可能となります。
マスキングについてはこちらのページでご確認下さい。
7.なるべく同時に手配頂くとコストパフォーマンスが良くなります。
アルマイト処理は同一材質で同一の膜厚であれば同時に処理が可能となります。
例えば10個取付可能な治具に1個で電解処理を行っても、10個で処理をしても1回の電解処理に掛かる工数に大きな違いが無い(治具付け・外し・検査は別)為、同じ製品を10回に分けて発注頂くと最悪トータルコストは10倍となります。
大きさには限度が御座いますので、大型の製品では例外となります。
以下2つのCASEをご覧ください。
CASE1:別々でオーダー
①100mm×50mmの製品1個硬質アルマイト15μ(A5052) @7000
②別日100mm×40mmの製品2個硬質アルマイト15μ(A5052)@4000×2=8000
合計15000(7000+8000)
CASE2:まとめてオーダー
①100mm×20mmの製品で硬質アルマイト15μ A5052 1個
②100mm×40mmの製品で硬質アルマイト15μ A5052 2個
各@3000(①②共に)
合計9000
このように材料と処理の条件をまとめるだけでも4割程度お安くする事が可能となります。ここでの金額は仮の金額です。実際の金額は図面を元に算出が必要となります。注意事項としては、材料は同一ロットを推奨します。稀に同じ材質でも製造ロットが違った場合同等の膜厚発色が得られない事があります。