アルマイト処理の治具の種類・材質と電極接点について
Index目次
①アルマイト治具の目的
アルマイトの治具には、以下の様な3つの目的があります。材質はアルミやチタンを使いアルミ製品に給電を行いアルマイト被膜を生成していきます。
1.部品の固定・保持
アルマイト治具は、アルミ製品を正確に保持し、処理中に変形やズレが発生するのを防ぐために使用されます。これにより、均一かつ正確な処理が可能になります。
2.均一な処理条件の確保
治具は製品を特定の位置や角度に保持することで、アルマイト処理が均一に行われるように設計されます。これにより、全ての部品が同じ条件で処理され、品質が安定します。
3.生産性の向上
製品を素早くかつ正確に治具に取り付け、処理後に簡単に取り外せるように設計された治具は、生産性を向上させる役割を果たします。素早い治具の取り付けと取り外しは、製造プロセスの効率を高めます。
②電極接点の取り方について
1.ノック孔タップ孔(ボルトナット)を使う場合
量産の製品は専用治具を製作し、出来る限り生産性を高くしますが、単品でスポット発注の製品では汎用の治具を使って処理を行います。
重い製品や単品ではキリ孔やタップ孔を使ってアルミ製品を保持する事が一般的です。タップ孔もキリ孔も無い場合、電極用のタップ孔又はキリ孔を追加頂くと対応が可能です。
2.ノック孔もタップ孔も使わない場合(専用治具)
単品発注品では治具費のほうが高くなってしまい現実的ではありませんが、量産製品で毎月大量に製造する場合は外周部や内径部を治具で固定する方法が治具への取付け・外し作業効率が良くなる為トータルでは経済的です。外周や内径接点治具は製品に出来る限り電極跡が残らないよう且つ絶対にズレない位のテンションで保持出来るように緻密に作られています。
こちらのリンクからVIRTUAL工場見学に飛んで治具付けの動画が確認出来ます。
➂アルマイト治具の材質について
アルマイトの治具に使う事ができる材質はアルミニウムとチタンです。それぞれ以下の様な特徴があります。
1.アルミ治具の特徴
アルミ製品同様にアルマイト被膜が成膜されてしまう為、次回使う為にはアルマイト被膜を剥離しないと使えません。なぜならアルマイト被膜が付いている所は電気が絶縁されているからです。アルミ治具は1品物の処理に向いています。材料費は安価ですが、耐久性に問題があり、チタン材に比べ強度が低い為、変形等により2度目の処理が行えなくなる事があります。よって何度も使い回す事は出来ません。
2.チタン治具の特徴
アルミに比べ材料費は高額となりますが、強度や硬度が高く耐久性やアルミ製品を保持する力も強い為、品質も安定します。アルミと違い毎回酸化被膜を剥離する必要が無く作業性にも優れています。よって初期の投資は大きくなりますが、量産品ではチタン治具一択と言えます。