アブレシブ摩耗(引っかき摩耗)とは?原因・発生メカニズムと対策を解説

Index目次
Ⅰ.アブレシブ摩耗とは
- アブレシブ(Abrasive)は「研磨材」を意味する言葉
- 硬い材料が柔らかい材料を削ることで発生する摩耗
- 「引っかき摩耗」「研磨摩耗」と呼ばれることもある
摩耗にはいくつかの種類があり、代表的なものとしてアブレシブ摩耗のほかに、
接触面同士が凝着して発生する凝着摩耗(焼付き)があります。
詳しくはこちらの記事で説明しております。
Ⅱ.アブレシブ摩耗が発生するメカニズム
▶二体摩耗(Two-body Abrasion)
硬い相手材が直接表面を削る摩耗です。
(例)
- ギヤ
- 軸
- カム
- ベアリング部品
▶三体摩耗(Three-body Abrasion)
二つの部品の間に異物が入り込み、研磨剤のような働きをする摩耗です。
代表的な異物
- 砂
- 泥
- 金属粉
- 切粉
- ダスト
Ⅲ.アブレシブ摩耗が発生しやすい環境
- 建設機械
- 農業機械
- 工作機械
- 搬送装置
- マウンテンバイク
- オフロードバイク
なお、微小な振動や繰り返し接触によって発生する摩耗には、
フレッティング摩耗と呼ばれる種類もあります。
詳しくは「フレッティング摩耗とは?」で解説しています。
「フレッティング摩耗とは?」は近日公開予定
Ⅳ.マウンテンバイク・オフロードバイクで起こるアブレシブ摩耗
マウンテンバイクやオフロードバイクは、砂や泥、水などが摺動部へ侵入しやすい環境で使用されます。
このような異物は摺動部で研磨材のように働き、アブレシブ摩耗を引き起こします。
そのため、
- フロントフォーク
- リアサスペンション
- シートポスト
などでは、高い耐摩耗性と優れた摺動性が求められます。
Ⅴ硬質アルマイトはアブレシブ摩耗対策に有効
硬質アルマイトはアルミニウム表面に高硬度の酸化皮膜を形成する表面処理です。
母材よりも高い耐摩耗性を得られるため、砂や異物による摩耗の低減が期待できます。
| 材質 | 純アルミ | A5052 | 一般構造用鋼 | SUS304(参考) | 普通アルマイト | 硬質アルマイト |
| 硬度(HV) | 20~30 | 47~60 | 120~200 | 150~250 | 200~300 | 約350 ~ |
Ⅵ.カシマコートが過酷な環境で採用される理由
カシマコートは、高硬度な硬質アルマイト皮膜に加え、二硫化モリブデン由来の潤滑性を付与した表面処理です。
そのため、
- 優れた耐摩耗性
- 低摩擦性
- 焼付きの抑制
を兼ね備えています。
砂や泥などが付着しやすいマウンテンバイクやオフロードバイクでは、フロントフォーク、リアサスペンション、シートポストなどの摺動部にも採用されています。
Ⅶ.よくある質問
Q.アブレシブ摩耗と凝着摩耗の違いは?
→削る摩耗と焼き付く摩耗の違い。
Q.潤滑だけで防げますか?
→完全には防げない。
Q.アルミでも起こりますか?
→起こる。
Q.硬質アルマイトは効果がありますか?
→高硬度皮膜により摩耗低減が期待できる。
摩耗対策を考える際には、単に表面を硬くするだけではなく、
摩擦・摩耗・潤滑を総合的に考えることが重要です。
このように摩擦・摩耗・潤滑を扱う学問をトライボロジーと呼びます。
詳しくは以下の記事で解説しています。
Ⅷ.まとめ
- アブレシブ摩耗は、硬い材料や異物によって表面が削られる摩耗現象です。
- 特に砂や泥が侵入しやすい環境では三体摩耗が発生しやすく、部品寿命や性能に影響を及ぼします。
- 対策としては、防塵設計、適切な潤滑、高硬度化などが有効です。
- アルミ部品では、硬質アルマイトやカシマコートのような表面処理が、耐摩耗性向上に役立ちます。
▶摩耗についてさらに詳しく知りたい方へ
アブレシブ摩耗以外にも、凝着摩耗(焼付き)やフレッティング摩耗など、
さまざまな摩耗現象があります。
それぞれの特徴や違いについては、総合記事で詳しく解説しています。




