アルマイトの硬度はどれくらい?HV値や鉄・ステンレスとの違いを解説

Index目次
1. アルマイトとは?(おさらい)
先ずはおさらいです。
アルマイトとは、アルミニウムの表面を電気化学的に酸化させ、
酸化アルミニウム(Al₂O₃)の皮膜を形成する表面処理です。
この酸化皮膜はアルミニウム母材と一体化しているため、
塗装やメッキのように表面へ付着しているだけではありません。
アルマイト処理を施すことで、
- 耐食性の向上
- 耐摩耗性の向上
- 電気絶縁性の付与
- 装飾性の向上
など、多くの性能を得ることができます。
特に機械部品では、表面硬度を高められることから
摩耗対策として採用されるケースが多くあります。
2. アルマイトの硬度はどれくらい?
アルマイトの硬度は、
一般的にビッカース硬度(HV)で表されます。
皮膜の種類によって硬度は大きく異なります。
| 種類 | 硬度(HV) |
| 普通アルマイト | 約200~300 |
| 硬質アルマイト | 約350 ~(材質による) |
硬質アルマイトは低温で時間をかけて皮膜を成長させるため、
通常のアルマイトよりも緻密で硬い皮膜になります。
そのため、高い耐摩耗性が求められる摺動部品や
機械部品などに広く使用されています。
3. 他の材料と比べるとどれくらい硬い?
アルマイトの硬度をイメージしやすいよう、
代表的な材料と比較してみました。
| 材質 | 純アルミ | A5052 | 一般
構造用鋼 |
SUS304
(参考) |
普通アルマイト | 硬質アルマイト |
| 硬度(HV) | 20~30 | 47~60 | 120~200 | 150~250 | 200~300 | ※約350 ~ |
※硬質アルマイトの硬度は材質によって上限は様々です。
アルミニウム母材と比較すると、
アルマイト処理によって表面硬度は約10倍向上します。
硬質アルマイトでは、一般的なステンレス鋼を上回る硬度になります。
ただし、ステンレスは種類や熱処理条件によって
硬度が大きく異なるため、単純な比較はできません。
4. 硬度が高ければ摩耗しない?
「硬度が高い=摩耗しない」と思われがちですが、
実際にはそうとは限りません。
摩耗には、
- 凝着摩耗(焼付き)
- アブレシブ摩耗
- フレッティング摩耗
- 腐食摩耗
などさまざまな種類があります。
例えば、相手材との相性が悪い場合は、
硬質アルマイトでも焼付きが発生することがあります。
そのため、部品設計では硬度だけではなく、
- 相手材
- 荷重
- 潤滑条件
- 摩擦係数
なども含めて総合的に検討することが重要です。
▶摩耗については以下の記事で詳しく解説しています。
5. 硬質アルマイトはどんな用途で使われる?
硬質アルマイトは、高い耐摩耗性を活かし、
- シリンダー
- ガイド部品
- 搬送設備
- 半導体製造装置
- 自動車部品
- ロボット部品
など幅広い分野で採用されています。
摺動性が必要な用途では、
潤滑性を付与したカシマコートなどの特殊アルマイトが選ばれるケースもあります。
▶硬質アルマイトについては以下の記事で詳しく解説しています。
6. まとめ
アルマイトは、アルミニウム表面に酸化アルミニウム皮膜を形成することで
硬度を大きく向上させる表面処理です。
普通アルマイトは約HV200~300、
硬質アルマイトでは約HV400~500と高い硬度を持ち、
耐摩耗性が求められる多くの機械部品で採用されています。
一方で、耐摩耗性は硬度だけで決まるものではありません。
摩耗の種類や相手材、潤滑条件などによって寿命は大きく変わります。
そのため、用途に応じて最適な表面処理を選択することが重要です。