2026.07.28 更新

摩耗とは?代表的な摩耗の種類と発生メカニズム

摩耗とは何か? 凝着摩耗(焼付き)、アブレシブ摩耗、フレッティング摩耗、腐食摩耗など代表的な摩耗の種類と発生メカニズムをわかりやすく解説します。 アルミ部品やアルマイトの摩耗対策を理解する基礎知識としてご活用ください。

1.摩耗とは

摩耗とは、接触している2つの物体が相対運動を繰り返すことで、

表面の材料が徐々に失われる現象です。

英語ではWear(ウェア)と呼ばれ、

摩擦(Friction)、潤滑(Lubrication)とともに、

トライボロジー(Tribology)の重要な研究分野となっています。

摩耗が進行すると、

  • 部品寸法の変化
  • 精度低下
  • 異音・振動
  • 焼付き

 

結果部品寿命の低下など様々な問題につながります。

2.摩耗はなぜ起こるのか

摩耗は単純に「硬い物が柔らかい物を削る」だけではありません。

実際には、

  • 荷重
  • 摩擦力
  • 潤滑不足
  • 面粗さ
  • 異物混入
  • 腐食
  • 微小振動

など様々な要因が複雑に重なって発生します。

また実際の現場では、一つの摩耗だけでなく

複数の摩耗メカニズムが同時に発生しているケースも珍しくありません。

3.代表的な摩耗の種類

表面処理で対策出来る摩耗もありますが、

中には表面処理では対策が困難な摩耗もあります。

ここでは先ず、その種類と特徴について触れていきます。

① 凝着摩耗(焼付き)

摩擦熱や高い接触圧力によって接触面同士が局所的に溶着し、

それが剥がれることで材料が失われる摩耗です。

進行すると焼付きへ発展することもあり、

摺動部品では最も注意すべき摩耗の一つです。

▶詳しくはこちら

硬質アルマイトでも摩耗する? 焼付き・凝着摩耗の原因と対策を解説

② アブレシブ摩耗(引っかき摩耗)

硬い粒子や相手材によって表面が削られる摩耗です。

切粉や砂などの異物が原因となることも多く、

研磨紙で削るようなイメージの摩耗です。

アブレシブ摩耗(引っかき摩耗)とは?原因・発生メカニズムと対策を解説

③ フレッティング摩耗

く小さな往復運動や振動によって発生する摩耗です。

ボルト締結部や圧入部など、

部品同士が密着している場所で発生します。

一見動いていないように見える部分でも発生することがあります。

動いていないのに摩耗する? フレッティング摩耗の怖さと原因・対策

 

④ 腐食摩耗

腐食と摩耗が同時に進行する現象です。

腐食によって弱くなった表面が摩耗しやすくなるため、

海水環境や薬液環境で問題となります。

腐食と摩耗が同時に起こるとどうなる?「腐食摩耗」の正体とは

⑤ エロージョン摩耗

液体や気体に含まれる粒子が高速で衝突し、

表面が徐々に削られる摩耗です。

ポンプや配管、ノズルなどで発生します。

⑥ キャビテーション摩耗

液体中で発生した気泡が崩壊する際の衝撃によって、

表面が損傷する摩耗です。

ポンプやプロペラ、水車などで見られます。

⑦ 疲労摩耗(ピッチング)

繰り返し荷重によって表面内部に疲労亀裂が発生し、

表面が剥離する摩耗です。

歯車や転がり軸受で多く発生します。

 

4.摩耗対策の基本的な考え方

摩耗対策は、発生している摩耗メカニズムによって大きく異なります。

代表的な対策には、

  • 材料の変更
  • 表面処理の採用
  • 潤滑剤の使用
  • 荷重の見直し
  • 面粗さの改善
  • 相手材との組み合わせの最適化

などがあります。

特にアルミニウム部品では、硬質アルマイトなどによって

表面硬度を高める方法や、潤滑性を付与した

表面処理を採用することで耐摩耗性の向上が期待できます。

ただし、すべての摩耗に同じ対策が有効とは限りません。

そのため、まずは

どの種類の摩耗が発生しているのかを

把握することが重要です。

5.カシマコートで対策できる摩耗もあります

摩耗は種類によって発生メカニズムが異なるため、

すべての摩耗に同じ表面処理が有効とは限りません。

カシマコートは、

硬質アルマイト皮膜に二硫化モリブデン(MoS₂)由来の

潤滑性を付与した表面処理です。

特に凝着摩耗(焼付き)やアルミ同士の摺動で

発生しやすい摩耗の低減が期待できます。

一方で、以下のような摩耗は、

使用環境や設計条件によって対策方法が異なります。

摩耗の種類 カシマコートとの相性
凝着摩耗(焼付き) ◎ 特に有効
アブレシブ摩耗 ○ 有効
フレッティング摩耗 ○ 有効
腐食摩耗 ○ 使用環境による
エロージョン摩耗 △ 条件による
キャビテーション摩耗 △ 条件による
疲労摩耗(ピッチング) △ 条件による

※カシマコートは、オフロードバイクやマウンテンバイクのサスペンション部品など、

アブレシブ摩耗が問題となる環境で多数の採用実績があります。

ただし、効果は使用条件や相手材によって異なります。

そのため、まずは発生している摩耗の種類を把握し、

それに適した表面処理を選定することが重要です。

カシマコートの特徴や、硬質アルマイトとの違いについては、

以下の記事で詳しく解説しています。

潤滑油なしでも摺動可能? カシマコート®の低摩擦メカニズム

6.まとめ

摩耗には、凝着摩耗、アブレシブ摩耗、フレッティング摩耗など、

さまざまな種類があります。

一見似たような摩耗でも、

その発生メカニズムは異なり、適切な対策も変わります。

本記事では代表的な摩耗の種類を紹介しましたが、
それぞれの摩耗については個別の記事で詳しく解説していますので、

ぜひあわせてご覧ください。

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