2024.10.01 更新

潤滑性(じゅんかつせい)アルマイトとはどんなもの?

「潤滑性(じゅんかつせい)アルマイト」とは、一般的なアルマイト(陽極酸化アルミニウム)の表面処理に対して、さらに潤滑性能を付加した処理技術です。 通常の硬質アルマイト処理では、アルミニウムの表面に酸化被膜を形成し、耐摩耗性や硬度は向上させますが、その皮膜自体は比較的摩擦が大きいため、潤滑性能が優れているとは言えません。

1.潤滑とは?

潤滑性とは、物体が相互に接触・摺動する際に、摩擦を低減し、適切な動きを促進する性質を指します。

潤滑性がある材料や物質は、摩擦によるエネルギー損失を減少させ、摺動部分の磨耗を軽減することが期待されます。

2. 潤滑性アルマイトとは?

「潤滑性アルマイト」とは、アルマイト処理された表面に特別な潤滑剤や添加剤を組み合わせて、表面に潤滑効果をもたらす処理を指します。これにより、処理されたアルミニウム製品の摩擦抵抗が低減され、耐摩耗性が向上します。

この技術は、機械部品や摩擦が生じる箇所での使用において、性能向上や寿命延長を実現するために応用されています。

アルマイト被膜は元々耐摩耗性がある表面処理ですが、潤滑材(潤滑油)を使えない過酷な環境では少なからず摩擦抵抗により摩耗が進行してしまいます。

潤滑性能を発揮するアルマイトには以下のような種類があります。

①カシマコート

カシマコートは株式会社ミヤキが研究開発したオリジナル潤滑性アルマイトで、硬質アルマイトに潤滑機能をもたせ、耐摩耗性の向上を目的とした潤滑性アルマイトです。

アルマイト皮膜の孔の基底部から二硫化モリブデンを析出することで、皮膜全てが失われるまでの長期にわたって潤滑性能を発揮出来る為、圧倒的な耐久性が確保されています。

②フッ素樹脂系のコーティング

いわゆるテフロン樹脂をアルマイト被膜の上に塗布したもので初期の摺動性に優れますが、テフロン樹脂自体の硬度は低い為、一定期間使用すると表面のテフロンが摩耗で失われ、カジリ等が発生する恐れがあります。

3.適用分野

潤滑性アルマイトは、摺動部品やベアリング、スライド部品などの摩擦が発生しやすい部分で多用されています。輸送機器全般、機械装置など、精密で長寿命の動作が求められる産業で幅広く活用されています。

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