
1.デジタル化・自動化への取り組み方針
アルマイト処理は「温度・電流・電圧・時間・薬液」など複数の要素が絡むため、
再現性をどれだけ高く確保できるかが品質の鍵になります。
ミヤキでは次の方針で改善を進めています。
① 工程の“見える化
処理条件、測定値、歩留まりを継続的に蓄積し、
不具合原因の特定や工程改善につなげています。
② 条件設定の自動化による安定化
伝票のバーコード読み取りによって複雑な電解条件の自動反映を実現し、
標準化を強化し、ヒューマンエラーを防いでいます。
③ トレーサビリティの強化
電解条件・測定結果・誰がどの工程にどの位の工数を掛けた等の情報を蓄積し、
「製造時の履歴」を迅速に追える体制を整えています。
2.ミヤキの主要設備と運用
① 自動アルマイトライン
当社のアルマイト自動ラインでは、
- 処理時間
- 電流/電圧の制御
- 各槽温管理
などをプログラムで管理することで、量産品の品質ブレを最小限に抑えています。
※ライン制御によりアルマイト処理の各工程が自動で進行する仕組みになっています。
ミヤキ公式HPでも紹介しております。(https://www.kashima-coat.com/technology/facility)
◎電解条件の自動反映(バーコード管理)
ミヤキの大きな強みとして、伝票のバーコードを読み取ることで
製品ごとの適正な電解条件が自動で反映される仕組みを採用しています。
(基幹システムと連動してシステムに登録されている条件を読み込む仕組み)
これにより、作業者の熟練度に関係なく
同等品質の製品を同じ工数で処理する事が可能となります。
- 繊細で複雑な条件入力の手間が不要
- 設定ミス(数値の入力間違い)がゼロに近い
- 条件データが履歴として蓄積される
- 量産品の再現性が高い
といったメリットが生まれています。
②基幹システム
製品情報、受注状況、工程進捗、生産スケジュールなどを
基幹システムで一括管理する事で、
計画精度の向上や工程遅延の防止に繋げています。
※基幹システムは自動アルマイトラインと連動している為、
基幹システムにはいつだれがどの製品を
どのような条件で何個処理を行った等、
受け入れから出荷までの全ての情報が集約されています。
③ 薬液管理(現状:人による定期測定)
薬液管理はまだ自動化されていませんが、熟練の測定担当者が
定期的に薬液を採取し、濃度・pHのチェックを行いデータを蓄積しています。
◎測定項目
- 濃度
- 汚れ・異物
- 添加剤の状態
などを細かく確認し、品質に直結する薬液状態を安定させています。
④その他の設備紹介
ミヤキでは、品質向上と生産性向上を目的に、
アルマイト処理に関連する周辺設備の導入・更新も進めています。
ここでは、主に社内で活躍している設備を紹介します。
◎3Dプリンター
3Dプリンターを活用し、治具や検証用パーツの試作時間を大幅短縮しています。
- 治具の形状確認
- ワーク保持方法の検討
- 複雑形状サンプルの簡易モデル作成
多くの時間が必要だった治具検討が、社内で短手番対応できるようになり、
工程立ち上げのスピードが向上しました。
◎ デジタルホワイトボード
会議室に導入したデジタルホワイトボードは、図面や他の標準書の共有が瞬時にできるため、
工程改善やトラブル対応が以前よりスムーズになりました。
- 製品図面を投影して確認
- 問題点の書き込み
- 画像や動画と組み合わせた検討
各部門が同じ資料を見ながら議論できることで、情報伝達ロスを削減しています。
◎ AGV(無人搬送車)
一部エリアでは、AGVによる工程間の自動搬送を導入しています。
- ワークの運搬を自動化
- 重量物の手運びを削減し安全性向上
- 人手作業から自動搬送へ切り替え、作業負荷を低減
導入した事により、作業者がより付加価値の高い作業に集中できるようになりました。
◎ ワークの工程間受け渡しのロボット化
ボトルネック工程になっていたワークの次工程へ受け渡す部分をロボット化
- 工程の省力化・安定化が実現
- 作業者の負担が減り、ミスの低減や品質の安定につながった
- 1日あたり6人時分の省力化になった
3.デジタル化による恩恵
①品質安定化
自動化された条件設定・工程履歴管理により、
膜厚・外観品質のバラつきを低減。
②生産性向上
工程のムダが減り、中~大ロットまで対応力アップ。
③トレーサビリティの向上
条件履歴・測定データを追えるため、不良が発生しても原因特定が早い。
④顧客対応の迅速化
処理履歴データが残るため、再注文や量産移行がスムーズ。







