2024.06.04 更新

カシマコート被膜内に析出する二硫化モリブデンの性質とは?

カシマコート被膜内に析出する二硫化モリブデンの性質とは?
モリブデン(Mo)は、特に二硫化モリブデン(MoS2)という形態で、優れた潤滑剤として広く使用されています。以下にその潤滑機能について詳しく説明します。

1.二硫化モリブデン)の構造と特性

層状構造

二硫化モリブデンは層状の結晶構造を持ち、各層はモリブデン原子が硫黄原子に囲まれた形で構成されています。層間の結合は比較的弱いファンデルワールス力によって保持されているため、層が滑りやすくなります。この特性が摩擦を低減し、潤滑性を向上させます。

高温耐性

MoS2は高温での安定性が高く、摂氏400度以上の環境でも潤滑性能を維持します。これにより、他の潤滑剤が劣化するような高温環境でも使用可能です。

2.摩擦と摩耗の低減

低摩擦係数

MoS2は非常に低い摩擦係数を持ちます。これは、層間の滑りが容易であることと、表面に自己潤滑膜を形成するためです。この潤滑膜は金属表面を覆い、直接的な金属接触を防ぐことで摩擦を減少させます。

耐摩耗性

潤滑膜は、表面の磨耗を防ぐ役割も果たします。摩擦によって生じる熱や圧力から基材を保護し、寿命を延ばします。

3.他の潤滑剤との比較

鉱油や合成油との併用

MoS2は鉱油や合成油と併用することで、その潤滑性能をさらに高めることができます。油中にMoS2の微粉末を分散させることで、油の潤滑性能を補完し、極限状態での潤滑効果を発揮します。

固体潤滑剤としての優位性

固体潤滑剤であるため、液体潤滑剤が使い難い環境(真空中や非常に高温の環境など)でも効果を発揮します。

 

4.具体的な用途

産業用途

二硫化モリブデンは、自動車部品(例えば、ピストンリングやギア)、航空宇宙産業の部品、精密機械の摺動部など、さまざまな産業分野で使用されています。

潤滑コーティング

MoS2はスプレーやコーティング剤としても利用され、機械部品の表面に直接適用することで、摩擦と摩耗を大幅に低減します。

硬質アルマイト被膜微細孔への析出

(株)ミヤキのオリジナル潤滑性硬質アルマイト『カシマコート』ではアルマイト被膜表面の無数にある微細孔へ二硫化モリブデンを析出させアルマイト被膜が全て摩耗するまでの長い間耐摩耗効果を維持し硬いだけの硬質アルマイトとは比較にならない程摺動部の摩耗を大幅に低減させます。

 

結論

二硫化モリブデンは、その卓越した潤滑特性により、多くの産業で不可欠な素材となっています。低摩擦係数、高温耐性、耐摩耗性などの特性により、極限環境下でも優れた潤滑性能を発揮します。これらの特性を理解し、適切に利用することで、機械の性能向上と寿命延長に寄与することができます。

二硫化モリブデン由来の潤滑性硬質アルマイトのカシマコート』の潤滑性は以上のような二硫化モリブデンの特性がその性能の裏付けとなっています。こちらのトライボロジーの観点からみたカシマコートの潤滑特性も併せて読んでいただければより理解が深まります。是非、ご一読下さい。

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