2025.06.17 更新

アルミ素材ごとの処理適性|A5052とA6061、アルマイト処理での違いは?

アルマイト処理や硬質アルマイト処理を前提にアルミ合金を選ぶなら、素材ごとの処理適性を理解しておくことが重要です。本記事では、代表的なアルミ素材である A5052 と A6061 の違いを、表面処理の観点から比較・解説します。

1.アルミ素材の選定で処理品質が決まる

A5052の特徴とアルマイト処理での注意点

◎A5052の基本特性

  • Al-Mg(マグネシウム)系合金
  • 非熱処理型で加工性・耐食性に優れる
  • プレス加工や曲げ加工にも向いている (引き抜き材で使われる事が多い)
  • 強度は中程度
  • アルミ合金の中では溶接性に優れる
  • アルミ合金の中ではコストパフォーマンスに優れる

◎A5052のアルマイト適性

  • 【普通アルマイト処理】:自然発色で光沢感のある美しい仕上がりが可能。銀白色の均一な外観が得られやすい素材です。
  • 【カラーアルマイト】:美しい仕上がりが期待できるが非熱処理型合金ゆえに組織の不均一が原因で稀に皮膜(色調等)にばらつきが出る事がある。
  • 【硬質アルマイト】:高硬度で良好な皮膜が得られます。

A6061の特徴とアルマイト処理での優位性

◎A6061の基本特性

  • Al-Mg(マグネシウム)-Si(シリコン)系合金
  • 熱処理型(T6処理など)で高強度
  • 機械加工や切削加工に適する(押し出し材として使われる事も多い)
  • 溶接加工には向かない
  • 材料単価はA5052材と比べると高価

A6061のアルマイト適性

  • 【アルマイト処理】:高い光沢と均一な仕上がりが得られる
  • 【硬質アルマイト】:安定した膜厚と硬度が得られる

 

2A5052とA6061の比較表|表面処理の観点から

なぜA6061が安定するのか?

3アルミ素材選定のポイント

耐食性とコストパフォーマンス重視→ A5052

塩害や腐食に強く、屋外や海洋部品に適しています。

強度・寸法精度と処理後の安定性重視→ A6061

厚膜の硬質アルマイト時も膜厚のばらつきが少なく、高精度に仕上がります。

さらに強度が必要な場合は2000番系や7000番系の選択となりますが、材料単価とアルマイト難易度が非常に高くなります。そういった意味ではA6061材は弱点が少なくバランスが良いアルミ合金と言えます。

4.まとめ

A5052とA6061は、アルミニウム合金の中でも使用頻度がたいへん高い材料です。どちらも基本的にアルマイトと相性が良く用途に応じたメリットがありますが、アルマイト処理や硬質アルマイトの品質を左右する素材特性に着目することで、より高品質な製品設計が可能になります。

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