どうすれば安くなるの?アルマイトのコストを抑える方法!
Index目次
1.コストを抑える方法について
①オーダーをまとめる
最も簡単な方法は同じ材質・同じ膜厚等条件を統一してまとめて発注する事が一番効果的です。
②膜厚を薄くする
可能な限り薄膜で発注した方がコストは抑えられます。素材毎に推奨膜厚がありますので、推奨膜厚であれば多くの環境で過不足無いアルマイト被膜となると思われます。膜厚については、お見積り時にご相談頂ければ適正膜厚をご提案させて頂きます。
➂公差孔はアルマイト後加工で仕上げる
シビアな公差孔がある場合や通電目的でマスキングを行って被膜が付かないようにマスキングを依頼される事がしばしばございます、被膜の寸法変化量を予測して加工を行う方法、又はアルマイト処理前は下孔加工に留め、あえて加工代を残して、処理後に仕上げ加工を行えば寸法目的でも通電目的でもほぼ100%失敗がありません。
マスキングは可能ですが、コスト的には大きな負担となりますので、時間的余裕が無く後加工が困難な場合のみオーダーするようにして頂けば大きなコストダウンが叶います。
せっかく、ロットをまとめ、膜厚も薄くしてアルマイト処理自体の工数を低く抑えても、マスキング依頼が多ければ、他の工夫は無駄になってしまう程コストに対してインパクトを与えてしまいます。
④電極接点について設計段階から打ち合わせを行う
量産品に限られますが、アルマイト処理の工程は素材成型や機械加工の後という事でアルマイトの試作時には形状の提案や変更が困難な事が多いです。数十個程度のオーダーであれば何とでもなりますが、毎日数百数千個と生産がある製品において治具への取り付け、外しは検査等の工数はコストへ大きな影響を与える事があります、品質的にはこの位置を接点に使いたいと提案しても、接点跡が問題で、接点に使える場所が限定的になってしまうと治具費も高額になりがちで、治具への取り付け、外し工数も増え、品質的なバラつきも多くなると検査工数も増え歩留りも悪化する恐れがあります。このような事にならないように形状がフィックスする前に形状的な打合せが出来るとより効率的な生産の提案が可能です。
2.コストが高くなる発注とは
①都度、必要数のみの生産を行う
無駄な在庫を持たない事も大事ですが、まとめる事でどのくらいのコスト削減効果があるのか2つの事例を紹介します。
CASE1.)
A5052材で白アルマイト5μ 1個、A5052材の硬質アルマイト15μ 1個
この場合白アルマイトと硬質アルマイトは条件が異なる為、同じ形状同じ材質でも別々にアルマイト処理を行う必要があります。仮に、白アルマイトでは無く硬質アルマイト2個発注頂いたほうが別々の処理を2回行うよりも単価は抑える事が出来るのです。この場合本来薄膜の白アルマイトで良い物をオーバースペックではありますが、より高機能な硬質アルマイトに条件を合わせる事で機能もコストも満足できるオーダーとなります。
この場合色調やクラック等の問題で白アルマイトを選択しているのであればミスチョイスとなってしまいますのでそれぞれの特性を理解して処理内容を統一する必要があります。このケースでは白アルマイトの目的が耐食性能を持たせる為の選択であれば、結果的により耐食性を高くする事になるので機能及び耐久を上げたうえでコストを下げる事になります。白アルマイトと硬質アルマイトの違いはこちらの記事を参考にして下さい。
例え薄膜であっても1個のアルマイト処理は非常に割高でお勧め出来ません。
アルマイト処理というのはハンガー(治具)により多くの素材を取り付けて処理を行う事が最も効率的な生産となるからです。
費用内訳
白アルマイト1個@3000 硬質アルマイト1個@7,000 トータル¥10,000
硬質アルマイト2個@4,000 トータル¥8,000
価格差¥2,000
CASE2.)
A6061材に硬質アルマイト15μ 1個とA6061材でカシマコート20μ 1個のオーダーであれば硬質アルマイトの上位互換であるカシマコート20μに統一した方がより高耐久でより低コストとなります。
費用内訳
硬質アルマイト1個@7,000 カシマコート1個 @13,000 トータル¥20,000
カシマコート2個@7,000 トータル¥14,000
価格差¥6,000
②取り敢えずH7公差孔は全てマスキング依頼をする
発注者側から見れば非常に手離れが良く簡単な方法ではありますが、公差孔が10箇所以上もあるような製品を数十台発注頂いた場合マスキングの内容にもよりますが、マスキングゴムを入れる・外す検査と思っている以上に工数が増えて、時間も費用も多く掛かってしまいます。マスキングが多数ある場合アルマイト費用を超える事も珍しくありません。マスキング工程は機械加工のように治具にセットすれば後は機械任せに出来る訳では無く全て人力による手作業であるため熟練作業者による施工が必要です。
特に割高になるのは一般的な形状の穴では無く段付き孔や溝形状・広範囲の面はマスキン塗料を筆塗りで塗布する為、非常に高度な技術を要し、特に高額となります。
マスキングについてはこちらの記事を参考にして下さい。
➂硬質アルマイトでとにかく厚膜化して耐久性を上げる
確かに膜厚を上げれば耐久性は向上しますが、闇雲に厚膜化するだけでは解決にならない事もあります。摩耗が進行する環境であれば、どんなに膜厚を上げても少し延命させるだけで摩耗自体を減らせる訳では無いので潤滑性能を持った硬質アルマイトのカシマコートを採用する事も解決策となるかもしれません。カシマコートについてはこちらのページで御確認下さい。