アルマイトの寸法変化量分りますか?加工狙い値自動計算ツールの紹介

Index目次
1.アルマイト処理で寸法はどう変わる?
アルマイト皮膜は素材の表面を電解処理によって酸化させ形成される酸化皮膜です。
メッキや塗装ならシンプルに膜厚分だけ素材が太りますが、
アルマイト皮膜は少し特殊で皮膜の半分だけ寸法が増えます。
たとえば「膜厚20μm」の硬質アルマイト処理を行った場合、
理論上は次のような寸法変化が起こります。
素材が溶解し、その一部が酸化皮膜として素材内部に浸透(約10μm全体の約50%)
外側に向かって酸化皮膜が成長(約10μm全体の約50%)
したがって、外径で見れば「片側10μmずつ」、
全体で+20μmの外寸増加が生じます。
※実際には、材質や形状、処理条件によって変動しますので、あくまで理論値です。
2.図面寸法の“狙い値”をどう設定する?
「図面には仕上がり寸法だけ記載されているが、
アルマイトで外径は太り、孔は小さくなるが、どこまで削るべきか?」
という設計・加工段階の悩みは現場あるあるです。
この“狙い値設定”で計算ミスすると、
以下のようなトラブルが発生します。
- 寸法オーバーで組付けできない
- 遊びが多すぎてガタが出る
- 追加加工の手間やコストが発生
こうしたトラブルを防ぐためには、
事前に「皮膜の成長分」を加味して加工寸法を調整しておく必要があります。
3.ミヤキ公式ツール「加工狙い値自動換算」が便利!
こうした悩みを解決するために、ミヤキ公式サイトではアルマイト処理後の寸法変化量を自動で計算できるツールを公開しています。
該当ページはこちら
- ページの中央辺りまでスクロールすると↑のようなページがあります。
使い方はとても簡単!
- 仕上がり寸法の上限・下限値を入力
- 皮膜の膜厚を入力(20μm・30μmなど)
→ 加工の狙い値の上限と下限(アルマイト処理前に狙うべき寸法)が自動で表示されます!
※狙い値についてはあくまで理論値となります。
材料の偏析や形状や膜厚によっては理論値通りにならない事も御座います。
狙い値計算は処理後の寸法を100%保証するものでは御座いません。
4.設計・加工・品質管理に役立てよう
このツールは、以下のような場面で非常に有用です
- 設計段階での寸法公差設定
- 加工現場の狙い値確認
- 処理後寸法のチェック基準策定
- 社内教育・新人研修用の資料としても◎
アルマイト処理は素材の特性や形状によって寸法変化の度合いも変わりますが、
浸透と成長の両方を理解し、目安値から逆算して加工することでトラブルを未然に防ぐことが可能です。
5.まとめ:面倒な換算を手間なく、正確に!
アルマイト処理による寸法変化は避けて通れない課題ですが、
ミヤキの「加工狙い値自動換算」ツールを活用すれば、
事前予測 → 加工調整 → 寸法精度の確保という流れを
スムーズに行うことができます。
ぜひ、日々の業務の中でご活用ください。