アルマイト皮膜の放熱特性-後編-
前編に続きアルマイト皮膜の放熱の特性についての『なぜ』に迫る内容満載の内容になっております。是非前編と一緒に目を通して頂き熱伝導・放射率についての理解を深めて下さい。
博士、アルマイト皮膜の放熱特性-前編-では熱伝導率の説明とアルマイト皮膜の放熱性について教えて頂きました。今回は続きのお話をお願いします。
放射率とは
放射率とは、物質が放射する熱放射の強さを表す物理量なんじゃ。
博士!もっと解り易く!
放射率とは、完全な黒体からの熱放射を1(最大値)とした場合の物体からの放射のしやすさを0~1で表したものなんじゃ。
完全な黒体って何ですか?
完全黒体とはあらゆる波長の光を完全に吸収する仮想の物体なのだが実際には存在しないと言われている理論上の黒い物体を指すんじゃ。このような物体の放射率は最高値の1とされるのじゃ!
逆に放射率0の物体とはどんな物体ですか?
放射率が0(最低値)の物体はすべての波長の光を完全に反射する物体(鏡面体)なのじゃ。
博士、アルミ・アルマイトの放射率はどの程度ですか?
アルミ・アルマイトの放射率の理論値は以下のような感じじゃ!
アルマイト処理しただけでもかなり放射率が上がるのですね!
そうなんじゃアルマイト皮膜の遠赤外線放射特性は、放熱性能を大幅に向上させる要因となるのじゃ。
なぜヒートシンクによく使われるのか納得です。
一般的に遠赤外線効果が高いとされるセラミックに匹敵する程の放熱特性とアルミ母材の熱伝導率・軽量とヒートシンクに要求される条件を全て備えた表面処理なんですね。
トリーさんよく理解できたようですね。
特に黒色アルマイトは、特別高い放射率を持ち、電子機器や自動車部品などで効果的な放熱を実現するのじゃ。前編で説明したように熱伝導率はアルミよりも低いので膜厚には注意が必要じゃが、アルマイト皮膜の特性を理解し、適切に応用することで、さまざまな分野で熱管理が改善され、性能と信頼性が向上するのじゃ!
一般的なヒートシンクのアルミ素材の成型は鍛造やダイカストが多いのだが、”ADC12材への黒色アルマイトについて”で説明しているようにダイカスト材への黒色アルマイトは簡単ではないのじゃ。
(株)ミヤキではADC12材への黒色アルマイトを多く手掛けていますから任せても安心ですね!