2026.03.31 更新

ダイカスト材(ADC12)に黒アルマイトはできる?黒くならない理由と対策

ダイカスト材(ADC12)に黒アルマイトはできるのか?黒くならない原因や色ムラ・発色不良の理由を解説。現実的な対策まで、でわかりやすく紹介します。

①結論|ADC12でも黒アルマイトは可能だが“条件付き”

結論から言うと、ADC12でも黒アルマイトは不可能ではありません。

ただし、

  • 均一な黒色になりにくい
  • 鋳肌部の皮膜は不安定
  • 品質が安定しにくい

といった制約があり、特に外観品質が求められる用途では注意が必要です。

②なぜADC12は黒アルマイトが難しいのか?

1.シリコン(Si)が皮膜形成を邪魔する

ADC12はシリコン(Si)を多く含むアルミダイカスト材です。

このシリコンはアルマイト皮膜の成長を阻害。

・皮膜が均一に形成されない

・染料が入りにくい

といった問題を引き起こします。

2.ダイカスト特有の組織ばらつき

ダイカストは急冷凝固によって形成されるため、材料内部組織の分布が不均一になりやすい特徴があります。

その結果、

・ 部位ごとに反応が異なる

・ 色ムラが発生する

といった現象が起こります。

③実際によくあるトラブル事例

1.黒くならずグレーになる

黒アルマイトを施したにもかかわらず、想定していたような黒色にならず、

グレーやくすんだ色になるケースがあります。

これは、シリコンの影響によりアルマイト皮膜が均一に形成されず、

染料が十分に入り込まないことが主な原因です。

2.まだら模様(色ムラ)が出る

部位によって色の濃さが異なり、まだら模様のように見えるケースもよくあります。

ダイカスト特有の組織ばらつきにより、アルマイト反応に差が生じることで、

皮膜厚さや染色状態にムラが発生するためです。

3.白っぽくなる・部分的に発色しない

これらのトラブルはすべて、

「皮膜の不均一」と「染料の入りにくさ」が主な原因です。

特にADC12では、材料そのものの特性により完全な均一黒色は難しいケースが多くなります。

対策は後述します。

④ADC12材に黒アルマイトをやるべきか?判断ポイント

以下の条件に当てはまる場合は、黒アルマイトの採用に注意が必要です。

・見た目(意匠性)が重要

・均一な黒色が求められる

・量産で外観品質の安定性が必要

このような場合、ADC12材への黒アルマイトは最適な選択ではない可能性があります。

それでも黒くしたい場合の対策

1.前処理・処理条件・材質の最適化

前処理や処理条件の最適化によって、ある程度の改善は可能です。

ただし、材料由来の問題を完全に解消することは難しく、

仕上がりには限界がある点に注意が必要です。

アルミ合金である事が重要な場合は

ADC12材以外のアルミ合金に変更する事で綺麗な

黒染色が可能になる場合があります。

2.別の表面処理を検討する

用途によっては、以下のような別の表面処理の方が適している場合もあります。

・塗装(均一な外観を重視する場合)

・ダイカスト専用の表面処理

目的に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

⑥ダイカスト材に適した表面処理という選択

ダイカスト材は通常のアルマイトでは対応が難しいケースが多いため、

専用のプロセスを前提とした表面処理の検討が重要になります。

特に耐食性や外観品質を両立したい場合は、

ダイカストに適した処理方法を選択することが現実的です。

ダイカスト材で黒色外観を実現する現実的な方法

ここまで見てきた通り、ADC12に対する一般的な黒アルマイトでは、

均一で安定した外観を得ることは難しいケースがあります。

では、ダイカスト材で黒色外観を実現したい場合、

どのような方法が現実的なのでしょうか。

1.ダイカスト材に特化した専用プロセスという選択肢

ダイカスト材のようにアルマイト処理が難しい材料に対しては、

材料特性を前提とした専用プロセスが有効です。

例えば、シリコンの影響を考慮した処理を行うことで、

従来のアルマイトでは難しかった外観品質や耐食性の両立が可能になります。

アルミダイカストの防錆、放置していませんか?―MDコートの知られざる実力―

2.MDプロセスによる対応例

当社では、ダイカスト材向けに開発した「MDプロセス」により、

ADC12に対しても安定した表面処理を実現しています。

従来のアルマイトでは課題となっていた、

・色ムラ

・発色不良

といった問題の改善を目的とした処理です。

ミヤキ公式HP「MDプロセス」はこちら⇒(https://www.kashima-coat.com/products/mdprocess/

3.実際の仕上がりイメージ

例えば、より黒さを重視した仕様では工程が長くなるため、

量産にはやや不向きとなります。

一方で、量産性を重視した条件では、

全自動ラインで安定した処理が可能です。

このように、「どこまで黒さを求めるか」によって、

最適な処理条件は変わります。

MDプロセスは、難アルマイト材と呼ばれる

ADC12材に特化した処理で、

本来課題となる耐食性の向上を目的としたアルマイト技術です。

その過程で、ADC12材でも比較的安定した皮膜形成が可能となり、

結果として染色性の改善にもつながっています。

ただし、展伸材のような

深い黒発色(いわゆる黒アルマイト)とは異なり、

あくまでダイカスト材として

現実的な範囲での黒色外観の実現となります。

⑧まとめ

・ADC12はシリコンの影響で黒アルマイトが難しい

  • ムラや発色不良が発生しやすい
  • 用途によっては別の処理が適している

「黒くしたい」という目的に対して、

処理方法を最適化することが重要です。

「黒くしたいのに、うまくいかない。」

そんなご相談を多くいただいています。

ダイカスト材の場合、

アルマイトでは難しいケースも少なくありません。

実際の部品や用途に応じて、

実現可能な方法を現場目線でご提案します。

まずは一度、ご状況をお聞かせください。

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