2023.10.27 更新

ADC12材への黒色アルマイトについて

アルミダイカスト材へアルマイト処理を行うだけでも困難なのに黒色に出来るなんて知っていますか?

ダイカスト材の中でもADC6等は比較的アルマイトと相性が良い材料なので処理出来る会社も御座いますが、ADC12材への黒アルマイト専用自動処理ラインを保有している会社はちょっとレアです。手作業とは比較にならない程の数を生産する事が出来ます。

染色アルマイトのメカニズム

染色アルマイトとはアルマイト処理で出来たポア(孔)と呼ばれる微細な孔に染料を入れる事によって完成します。

アルマイト被膜そのものは無色透明でポア(微細孔)と呼ばれる孔が1cm平方内に約300億個あります。封孔処理前にこのポアの中に染料を吸着させる事で染色し、封孔処理を行う事で完成します。

発色を良くするためにはそれなりの膜厚が必要です。理想は15μ以上です。

展伸材等は偏析が少ない為色ムラも少なく良好な発色となります。

染色アルマイトの特色は塗装や印刷のように素材を被覆して塗料やインキ色の着色を表現するのではなく、繊維の染色や入れ墨のように皮膜組織自身が染料粒子によって着色されているので、母材の一部として皮膜が一体に構成されています。

ダイカスト材へのアルマイトの難しさ

ダイカスト材の中でもADC12材にはSi(ケイ素)が多量に添加されている事は先に述べた通りです。

ダイカスト製品の表層にはチル層と呼ばれる「Al-Si2元系合金」を主原料としたケイ素と共有結合した非常に硬い物質に覆われています。

このケイ素という物質は金属を固くする為には無くてはならない物質ですがアルマイトの成膜を著しく阻害する性質があります。ケイ素が多量に偏析している部位はアルマイトの膜厚が極端に薄くなります。しかし、切削面や研磨によりチル層を除去した部位は比較的均一な成膜が可能です。

MDプロセスならダイカスト材でも黒く出来る

MDプロセスとは(株)ミヤキが長年培った技術でダイカスト材へのアルマイト処理に特化しています。MDプロセスの強みは耐食性ではありますが、

アルマイト被膜が綺麗に成膜されている為、黒色アルマイトも可能としているのです。

展伸材並みの黒発色とまではいきませんが、B1~B4(4段階)黒さのグレードがあり、B4は特に黒さに拘った処理の為、工程が長く大量生産には不向きですが、B1は全自動ラインで大量に生産する事が可能です。

意匠部品で黒くするのであれば塗装をお勧めしますが、ダイカスト材に黒アルマイトを行う理由の多くは放熱目的だと思われます。ダイカスト製ヒートシンクの表面処理は(株)ミヤキのMDB1を強く推奨します。

CONTACT US

お見積もり・お問い合わせ
はこちらまで