アルマイト皮膜は削れる?割れる?剥がれる?
― ケミス博士とトリーの簡単解説 ―

アルマイトについて調べていると、「剥がれない処理」という説明と、
「使っていたら剥がれた」という話、どちらも目にすることがあります。
結局どっちなのか?
そんな素朴な疑問を、ケミス博士とトリーが、やさしく説明します。
博士、アルマイトって「剥がれない」って聞きますが・・・。
そうじゃな
でも実際には「剥がれた」って話、よく聞きますよ?
それも事実だね、
今日はそこを整理しよう
まず結論からお願いします
最初に結論を言うよ
お願いします
アルマイト皮膜は、使っているうちに
「削れたり」「割れたり」することはある
ただし、塗装のようにペリッと剥がれるものではない
もう少しわかりやすくお願いします!
①削れる?
まず、削れますか?
削れる
え、皮膜なのに?
アルマイト皮膜は硬いが、無敵ではない
どういう時ですか?
主に摺動部や、
繰り返し当たる部分じゃ!
削れたらどうなりますか?
皮膜が失われて、中のアルミが露出する
それを
「剥がれた」って言いがちですね
その通り
②割れる?
では「割れ」はどうでしょうか?
条件次第で割れる
条件?
このような条件じゃ
- 曲げたり歪ませる
- ピン角部
- 熱による膨張
- 素材の肉厚差大
- 成形時の残留応力大
硬質アルマイトなら大丈夫ですよね?
少し待ちなさい
イメージして下さい
何でしょうか?
ガラスと透明アクリル
あ!
ガラスは割れやすい
硬質アルマイトは、ガラスのように硬いが、
しなりにくい皮膜じゃ。
白アルマイトは?
透明アクリルのように、
少しの変形ならば受け流せる
だから白アルマイトの方が
割れにくいんですね。
③剥がれる?
では一番聞きたい事です
剥がれることはありますか?
業界では「剥がれた」と表現する事が多々ある
はい、
良く聞きます
でも、それは現象の呼び名であって、
原因ではない
どういうことでしょう?
④「剥がれ」の正体
製品の使用中に「剥がれた」と言われる時は、
以下のどれかに当てはまる事が多い。
- 摩耗して皮膜が無くなった
- クラックが入り皮膜が欠けて欠落した
どれも
「剥がれ」って言われる事がありますよね
そうですね
共通点はどれも母材が露出する
⑤塗装やメッキとは違う
塗装やメッキのように、
膜が浮いてペリッとはがれることはありますか?
基本的にはない
何故ですか?
アルマイト皮膜は、
アルミ自体が変化してできた層だからじゃ!
だから
「密着不足で剥がれる」事は無いのですね
その理解でOKじゃ!
例外として強アルカリ等の特殊な薬品等の環境下では
皮膜が溶解し、剥離する事はある
このような場合に限って剥がれた(溶けた)と
表現しても間違いではない
アルマイトって、結局剥がれるんですか?
剥がれないんですか?
構造としては剥がれない。
しかし、使っているうちに、
削れたり割れたりして、
剥がれたように見えることはある。
⑥まとめ
整理すると?
以下の通りじゃ!
- 削れる → ある
- 割れる → 条件次第
- 剥がれる → 一般的に母材が露出する現象の総称
「剥がれ」って原因じゃないんですね
何が起きたかを考えるための、最初の言葉じゃ
ケミス博士のひとこと
アルマイト皮膜のトラブルは、
「剥がれた」で終わらせず、
なぜそう見えたのかを考えることが大切です。
※本記事では、アルマイト部品の使用中に起きる
現象を中心に解説しています。
アルマイト処理中に発生する事象の剥がれについては、 別の原因の場合があります。
アルマイトの基本については
株式会社ミヤキの公式HPのこちらのページで(https://www.kashima-coat.com/about/alumite/) で
詳しく解説しております。併せてご確認下さい。