被膜と皮膜の違いを解説します。アルマイトは皮膜?被膜?どっち?
金属や表面処理について話すとき、「被膜」と「皮膜」という言葉が良く使われますが、トリーさんはこの違い判りますか?
いつも何気なく使っているので判りません。
ずいぶんキッパリ言ってくれますねトリーさん。ワシの助手なんだからしっかりしてもらわんと困るんじゃが・・・。
この2つの言葉、一見似ていますが、実は微妙な違いがありそうですね。
さすが、トリーさん!勘だけは鋭い。
では今回は「被膜」と「皮膜」の意味やニュアンスの違い、具体的な使い方についてわかりやすく解説するから!しっかりと勉強してくれたまえ!
➀被膜とは?
「被膜(ひまく)」は、何かの表面を覆う膜を意味します。この言葉は特に工業や技術の分野で使用され、以下のような特徴があります。
皮膜は人工的に作られる膜が多いんじゃ!
人為的な工程(化学処理や物理処理など)によって表面に作られる膜を指すことが多そうですね。当たりですか?
見事正解じゃ!
やったね!
例えばどんなものが被膜というか幾つか言ってみて下さい。
金属のメッキ層とか塗装とか樹脂コーティングとかでしょうか?
なかなかやりよるな
つまり、被膜は、母材とは異なる材質で覆い包む膜を指すのですね。
なんじゃ、ホントは知っておったのか
➁皮膜とは?
「皮膜(ひまく)」は、自然に形成されたり、物体そのものの外皮を指します。
被膜と違って自然にできる膜が多い
つまり自然界の化学反応や環境により形成される膜を指すわけですね?
素晴らしい、トリーさん正解じゃ!
つまり、皮膜は自然に発生する膜を指す場合が多く、母材を異種の素材で覆う膜とは全く異なるニュアンスを持つのじゃ!
➂「被膜」と「皮膜」違いの具体例
トリーさん、だいぶ理解できているようじゃなそこで今からわしが質問する膜は『被膜』か『皮膜』か判るかな?
まずはメッキ加工のメッキ膜
母材に対して形成される異種金属の膜(人為的に作られた膜)なので『被膜』です。
正解じゃ!では、銅の表面に出来た緑青(ろくしょう)はどうじゃ?
銅が酸化により形成した酸化膜(自然にできる膜)なので『皮膜』です。
正解じゃ!では、アルマイトはどうじゃ?
うーんアルマイトですか?人工的に作られる膜なので『皮膜』でしょうか?
アルマイトは自然に出来る酸化膜と同じ原理で出来ている酸化膜なので『皮膜』なのじゃ!
アルマイトの主な成分である酸化アルミ(アルミナ)はアルミから精製される物質なので異材のコーティングであるメッキとは決定的な違いがある!
博士、有難うございます。大変勉強になりました。
アルマイトとメッキの違いについてはこちらで詳しく説明しているので併せて確認して下さい。