2026.02.10 更新

アルマイトしても錆びる? 原因と対策を表面処理メーカーが解説

「アルマイト処理をしているのに錆びた」 これは、現場でよく聞く相談です。 アルマイトはアルミの耐食性を高める有効な表面処理ですが、 条件次第では腐食が発生することがあります。 この記事では、アルマイトしても錆びる主な原因と、 現場で実践されている現実的な対策を解説します。

1.アルマイト=絶対に錆びない、は誤解

アルマイト処理とは、

アルミ表面に人工的な酸化皮膜を形成する処理です。

この皮膜により、

  • 水分や塩分とアルミ母材との接触を抑える
  • 腐食の進行を遅らせる

といった効果が得られます。

ただし、

どのような環境でも錆を完全に防げる処理ではありません。

皮膜の状態や使用環境、設計条件によっては、

アルマイト処理をしていても腐食が発生するケースがあります。

2.アルマイトしても錆びる主な原因

① 皮膜が薄い・仕様不足

最も多い原因が、処理仕様の不足です。

  • 使用環境に対して皮膜厚が足りない
  • 普通アルマイトで屋外・高湿環境に使用している
  • 耐食性よりコストを優先して仕様が決められている

この場合、

皮膜自体は存在していても、防ぎきれない状態になります。

② 封孔条件の影響

アルマイト皮膜は多孔質構造のため、

封孔処理の状態によって耐食性に差が出ます。

皮膜厚や使用環境とあわせて、

封孔条件の違いによって、耐食性に差が出ることもあります。

③ 使用環境が想定以上に過酷

設計段階では問題がなくても、

実際の使用環境が想定を超えることは珍しくありません。

  • 屋外使用
  • 沿岸部・塩分環境
  • 結露が頻発する装置内部

アルマイトは耐食性を高めますが、

環境次第では限界があることを理解する必要があります。

④ 異種金属との接触(電食)

アルミと鉄・銅・ステンレスなどが接触し、

そこに水分が加わると電食が発生します。

この場合、

アルマイト皮膜があっても、

接触部や皮膜の弱い部分から局所的に腐食が進行することがあります。

⑤ 材質特性による皮膜品質のばらつき

材質特性も、耐食性に大きな影響を与えます。

特にダイカスト材では、

材料内部の成分分布が均一にはなりません。

このような成分の偏析があると、

アルマイト皮膜の生成状態に大きな差が出やすく、

局所的に耐食性が低下することがあります。

このため、外観では判断できず、

「アルマイトしているのに錆びる」原因として見落とされがちです。

 

3.アルマイト腐食を防ぐための現実的な対策

使用環境に合った処理仕様を選ぶ

  • 屋内か屋外か
  • 湿気・結露の有無
  • 塩分環境か

使用条件を前提に、

皮膜厚や処理種別を決めることが重要です。

設計段階での腐食対策

  • 水が溜まらない形状にする
  • 異種金属との直接接触を避ける
  • 樹脂ワッシャーなどで絶縁する

表面処理だけに頼らない設計が、

腐食リスクを大きく左右します。

用途によっては別処理を検討する

  • 摩耗と耐食が同時に必要
  • 無給油の使用が前提
  • ダイカスト部品で腐食が多い

こうした用途では、

アルマイトの種類や機能を整理した上で、

処理を選び直すことが重要になります。

まとめ|アルマイトは「使い方」が重要

アルマイトしても錆びる原因は、

処理が悪い

アルマイトが弱い

といった単純な話ではありません。

多くの場合、

  • 使用環境
  • 設計条件
  • 処理仕様

これらが噛み合っていないことが原因です。

アルマイトは非常に有効な表面処理ですが、

正しく選び、正しく使ってこそ効果を発揮します。

アルマイトしても錆びる原因の多くは、
処理そのものではなく
使用環境と処理選定のズレにあります。

腐食対策として

「とりあえずアルマイト」

「とりあえず硬質アルマイト」

という選び方では、再発を防げないケースも少なくありません。

なぜなら、

耐食対策は用途・環境によって最適解が変わるからです。

「なぜ錆びたか」ではなく、

「どの処理を選ぶべきか」という視点です。

使用環境や部品の役割ごとに、

普通アルマイト・硬質アルマイト・機能特化処理を

どう使い分けるべきかを整理した記事はこちらです。

「アルミの耐食対策はどれを選ぶ?

用途別に見るアルマイト処理の違いと選び方」(近日公開予定)

 

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