2026.01.20 更新

EPISODE 14

アルマイト発注で「片肉〇〇μ」指定は要注意膜厚と寸法変化の基礎知識

アルマイト処理の発注時、
図面や仕様書に 「片肉〇〇μ」 と記載したことはありませんか?
寸法を守るため、設計者としては自然な指定方法です。
しかしアルマイトでは、この指示が意図せぬトラブルやコスト増につながることがあります。
この問題をケミス博士とトリーの掛け合いを通して、
「なぜ片肉指定が問題になりやすいのか」
「設計者・発注者は何を確認すべきか」
を分かりやすく解説します。

アルマイト処理の発注時、

図面や仕様書に 「片肉〇〇μ」 と記載したことはありませんか?

寸法を守るため、設計者としては自然な指定方法です。

しかしアルマイトでは、

この指示が意図せぬトラブルやコスト増につながることがあります。

この問題をケミス博士とトリーの掛け合いを通して、

「なぜ片肉指定が問題になりやすいのか」

「設計者・発注者は何を確認すべきか」 を分かりやすく解説します。

①図面を描くトリーの疑問

この部品、嵌合がシビアだから
アルマイトは片肉10μまでって指定しておこう

ふむ。
トリーよ、その“10μ”は何を意味しておる?

外形寸法が10μ以下に、って意味ですけど…?

なるほど。
それが、アルマイトでは誤解を生みやすい指示なんじゃ!

②アルマイト皮膜の基本特性

アルマイト皮膜は、塗装やめっきとは全く異なる成長メカニズムを持っています。

アルマイト皮膜はこのような特性がある

  • 約半分が外側に成長
  • 約半分が素材内部に浸透

ということは…?

“皮膜厚10μ”と指定しても、
外形の増加は約5μ程ということじゃ

③「片肉指定」で起きるズレ

設計者が指定している「片肉〇〇μ」は、

多くの場合 “寸法が増えてよい量” を意味しています。

しかしアルマイト処理では、外形を10μ増やしたい

→ 実際に必要な皮膜厚は 約20μ

内径を10μ小さくしたい

同様に より厚い皮膜 が必要 という関係になります。

えっ…
じゃあ、片肉10μ指定って、
実際には膜厚20μを要求しているのと同じ…?」

そうゆうことじゃ。
そしてそれは――
設計者が気づきにくい“コスト”の話

膜厚が厚くなれば

  • 処理条件は厳しく
  • 処理時間も延びる

結果としてコストが上がる

寸法を守りたかっただけなのに…

誰も間違っておらん
ただ、アルマイトの前提が共有されていないだけじゃ

④発注・設計者向けチェックリスト

図面に「片肉〇〇μ」と書く前に

【1】その「片肉」、何を意味していますか?

☐ 皮膜そのものの厚さ

☐ 寸法が変化してよい量

→ どちらを指しているか、言語化できますか?

【2】寸法変化を整理できていますか?

☐ 外形寸法は何μまで増やしたいか

☐ 内径・穴径は何μまで小さくなってよいか

※ アルマイトでは

膜厚=寸法変化量ではありません

【3】膜厚が増える=コストが増えることを理解していますか?

☐ 外形を〇〇μ増やしたい

→ 必要な皮膜厚は 約2倍 になる可能性がある

☐その結果

 ・コスト

 ・納期

 この2つの影響を想定していますか?

【4】アルマイトの「目的」を説明できますか?

☐ 耐摩耗性

☐ 摺動性

☐ 耐食性

☐ 電気絶縁

☐ 外観

→ 目的が分かれば、

本当に必要な膜厚の最適解が見つかる場合もあります。

【5】処理業者に伝える情報は十分ですか?

☐ 守りたい寸法

☐ 機能上重要な部位

☐ 許容できる寸法変化

☐ コスト・納期の優先度

「片肉〇〇μ」だけで完結していませんか?

まとめ:ケミス博士のひとこと

片肉指定が悪いのではない。
設計意図が伝わらない指示が問題なんじゃ

なるほど…
これからは“何を守りたいか”も一緒に伝えます!

おわりに

アルマイトは

半分が成長し、半分が浸透する

という特性を持つ、少しクセのある表面処理です。

その特性を知らないまま発注すると、

寸法を合わせる為に過剰に膜厚を増やし、結果的に

  • 想定外のコスト増
  • 不要な再設計や手戻り

につながることがあります。

「この指定で合っていますか?」

そう一言ご相談いただくだけで、

設計意図に沿った最適な膜厚設定をご提案できます

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