2024.10.15 更新
基礎知識
【注意】アルマイトの発注時に膜厚を片肉と表現すると誤解を招く事があります
アルマイトを良く知っている方はアルマイトの発注時に片肉という表現はあまり使いませんが、日頃から様々な表面処理をオーダーされる方は片肉という表現をされる方が稀におられます。
今回は、公差孔で失敗しない為の説明をしていきますので最後までお付き合いください。
Index目次
1.片肉とは
片肉とは鋼材用語で削り代を指す言葉であり、鍍金や溶射等では膜厚と同等の意味で使われます。
2.表面処理によって違う片肉のニュアンス
鍍金・塗装・溶射では片肉=総膜厚で良いのですが、硬質アルマイトの皮膜の約50%は浸透被膜で元々アルミだった部分を溶かしながらアルマイト皮膜化していく為寸法変化量は膜厚の半分で鍍金と同じだと思って公差孔を加工すると結果的に狙いの半分となり孔が緩くなり寸法NGとなります。
具体例
φ10.02の孔がある製品に10μm(0.01mm)の被膜を付けてφ10にしたいとします。
鍍金・塗装・溶射の場合は10μmでOK
硬質アルマイトで10μ増膜させる為には総膜厚20μの被膜が必要となります。アルマイトの知識が少ない方はここで?となります。
仮に鍍金と同じように10μmで発注してしまうと片側5μしか増膜しない為、結果的に穴径は10μm大きい状態となります。アルマイト処理を行った後に発覚すると修正はほぼ不可能です。(剥離は出来ますが、浸透皮膜も一緒に除去してしまう為剥離をしても元の寸法に戻りません)
3.まとめ
アルマイトの成長膜厚と浸透膜厚を理解していれば片肉という指示は怖くて出来ませんなぜならば片肉の正確な意味は総膜厚を指す為です。
アルマイト処理後の膜厚で加工狙値を算出する時は下の画像からミヤキコーポレートサイト内のアルマイトとはのページ中程の”加工狙い値自動換算”をお使いください。