2024.07.09 更新

アルマイトの剥離再処理の方法と事前に知っておくべき事

理由は様々ですが、お客様からアルマイトの剥離再処理を依頼される事があります。 勿論、対応は可能なのですが、いくつか注意が必要な事があります。 剥離再処理品を見てこんなハズじゃ無かったとならないように、ご説明致します。

1.剥離工程について

アルマイト被膜を剥離する方法には以下のような方法があります。目的に合わせて選択する必要があります。

①化学的に剥離

剥離して再度アルマイト処理を行う場合は、化学的に剥離をする必要があります。一般的な方法は強アルカリ性の溶液に浸漬してアルマイト被膜を溶解させて剥離します。

複雑な形状や孔の内部まで剥離するが可能です。

全面剥離してやり直すのであればこの方法になります。

②切削加工で物理的に被膜除去

帯電対策の為にアースを取りたい場合等には物理的に機械加工で切削すれば被膜は除去可能です。場合によってはマスキングよりも安価になる事もあります。

➂ブラスト処理で破膜除去

剥離後に塗装をする場合はブラスト処理をお勧めします。適度に表面が荒れて塗装密着も良くなります。

デメリットはブラストのメディアを当てられない陰になる部位や孔の内径等は剥離が出来ません。

剥離したくない部位にマスキング(粘着性のシート等を貼る)を行えば部分的に剥離する事も可能です。

2.剥離処理で起こる事象について

アルマイト被膜を剥離する事とは被膜全てを取り除く事で、元々アルミ素地であった部分の浸透膜厚部(被膜の約50%)も剥離させる為、剥離後は膜厚の50%程度全体に痩せます。

※メッキや塗装と違うので同じだと思わないで下さい

例えば膜厚20μのアルマイト被膜を剥離するとアルマイト処理前寸法に対して全体的に約10μ小さくなるという事です。

以上の事象は理論値で、実際は、20μ剥離しアルミ素地を露出させるとアルミも少なからず溶解します。再度アルマイトを確実に施すためにはアルマイト被膜を僅かでも残すわけにはいかない為、完全に剥離させる為にほんの少し多めに溶解させる必要があります。

溶解の反応は被膜及びアルミ素地の成分の偏りにより反応が強いところと弱いところがある為、面粗度も悪化します。

厳しい幾何公差・寸法公差がある製品の剥離再処理は特に注意が必要となります

3.剥離再処理に向かない製品

1上記で説明したようにシビアな公差がある製品

最初のアルマイト処理前の寸法に戻す事は不可能だと思って下さい。

2ダイカスト、鋳物等の鋳造品

鋳造品は成型時から不純物が多い為、極端に肌が荒れ著しく外観を損ねてしまいます。

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