①アルマイト処理とは
アルマイト処理は、アルミニウムを酸化させて耐食性や耐摩耗性を高める表面処理法です。この処理によって形成される酸化被膜は、アルミニウム表面を保護し、さらに染色や装飾を施すための基礎となります。
②封孔の役割
封孔は、アルマイト処理後に残る微細孔(ポーラス)を水和物によって塞ぐ工程です。この孔を塞ぐことで以下のような効果が見込めます。
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耐食性の向上
酸化被膜内部への腐食性物質の侵入を防ぎます。
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染色の定着
染色したアルマイト製品の色褪せを防ぎ、鮮やかな色を定着させます。
➂封孔の種類
封孔にはいくつかの方法がありますが、代表的なものを以下に紹介します。
1.沸騰水封孔
沸騰水封孔は、沸騰水を使用して行う最も一般的な方法です。沸騰水により酸化被膜の孔が膨張し、閉じられます。
2.酢酸ニッケル封孔
加熱した酢酸ニッケル溶液に浸漬させることでニッケルイオンが酸化被膜の孔に浸透し、化学反応によって孔を塞ぎます。
3.蒸気封孔
蒸気封孔は、高温の蒸気を使用して酸化被膜の孔を膨張させ、その後冷却によって孔が閉じる原理に基づいています。
④封孔の工程
封孔の具体的な工程は以下の通りです。
1.洗浄
アルマイト処理後、製品表面の汚れや残留物を取り除きます。
2.封孔
選択した封孔方法に従い、封孔処理を行います。例えば、湯水封孔の場合は沸騰水に浸漬します。
3.洗浄
封孔処理後、封孔剤を除去します。
4.乾燥
封孔処理後、製品を乾燥させて仕上げます。
⑤封孔のメリット
封孔処理には多くのメリットがありますが、特に以下の点が挙げられます
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長寿命化
アルマイト製品の耐腐食性が向上し、製品寿命を延ばします。
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高い信頼性
高品質な表面処理により、製品の信頼性が向上します。
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美観の保持
染色後の色鮮やかさが保たれ、美しい外観を維持できます。
⑥封孔のデメリット
アルマイト処理における封孔には、多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。
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硬度への影響
封孔処理はアルマイト層の微細孔構造を変化させるため、アルマイト層の硬度が若干低下する可能性があります。特に、硬質アルマイトの場合、この影響は顕著となることがあります。
⑦まとめ
アルマイト処理における封孔は、製品の性能と美観を向上させるために欠かせない工程です。適切に実施することで、アルミニウム製品の品質を大幅に向上させることができます。