2024.06.11 更新

白アルマイトと硬質アルマイトの違い:特性と用途について

図面の表面処理欄に「白アルマイト」と書かれているのを見たことはありませんか? この“白”という言葉から「白色のアルマイトを指定しているのかな?」と受け取ってしまう方もいらっしゃいます。 実はそれ、よくある誤解です。 この記事では、白アルマイトの正しい意味と、硬質アルマイトとの違い、用途や性能面の比較についてわかりやすく解説します。

①白アルマイト(普通アルマイト)とは

「白アルマイト」とは、硫酸を使用した電解液で行う一般的な陽極酸化処理のことを指します。

この処理で生成される皮膜は無色透明で、

アルミ地金の銀白色がそのまま見えるため、結果として“白っぽく”見えることから

「白アルマイト」と呼ばれています。

主な特徴

1.処理方法

常温の硫酸電解液で陽極酸化処理を行います。

2.膜厚

5μm前後が一般的で、比較的薄い皮膜です。

3.硬度

標準的にはHV150前後の適度な硬度ですが、

※(株)ミヤキの白アルマイトはHV200以上を実現しており、一般的な処理より高硬度です。

4.色調

無色透明の皮膜のため、アルミニウムの地肌色がそのまま反映されます。

5.耐食性

アルミ表面を酸化皮膜で覆うことで耐食性が向上します。

用途

  • キッチン用品、家具の部品など
  • 自動車部品
  • 建築材料
  • 機械・設備部品

コストが比較的安価で、外観と耐食性をバランスよく確保したい場面に適しています。

②硬質アルマイトとは

 

硬質アルマイトは、白アルマイトに比べて高い硬度と耐摩耗性を持つアルマイト処理です。

耐久性が求められる機械部品や摺動部、過酷な環境下で使用される部品に採用されます。

 

一般的に白アルマイトよりも処理コストは高めですが、その性能は群を抜いています。

主な特徴

1.処理方法

極低温の硫酸電解液を用い、長時間処理を行うことで高硬度・厚膜化を実現します。

2.膜厚

20~50μm程度と、白アルマイトの4~10倍以上の厚さにすることもあります。

※膜厚の上限は材質によります。

3.硬度

ビッカース硬度でHV400以上を実現。非常に高い耐摩耗性を発揮します。

※硬度の上限は材質によります。

 

4.色調

灰色〜黒色に自然発色するのが一般的です。膜厚が厚いほど色が濃くなります。

※材質によっては金色や黄色味を帯びる場合もあります(例:2000番系・7000番系など)。

5.耐熱性と絶縁性

耐熱性が高く、電気絶縁性能にも優れます。

 

用途

  • 機械部品(軸受、シリンダーなど)
  • 自動車部品、航空宇宙産業
  • 軍事用途
  • 機械・設備部品

高耐久性・高性能が求められる場面に適しています。

➂白アルマイトと硬質アルマイトの違いまとめ

 

 

白アルマイト 硬質アルマイト 備考
膜厚 5μ前後 20μ~50μ 材質による
硬度 HV150前後

※ミヤキではHV200超

HV400前後 材質による
色調 銀白色

(地金色)

灰色~黒色

(自然発色)

2000・7000番台

は黄色味あり

耐食性 高い 非常に高い 厚膜ゆえの強靭さ
コスト 比較的安価 高め 条件による

4.選定のポイントとミヤキのアルマイト品質

高性能の白アルマイトを求めるなら、ミヤキの白アルマイト処理をご検討ください。

一般的な、白アルマイトの硬度はHV150程度ですが、

ミヤキの処理ではHV200を超える皮膜性能を実現しています。

これはアルミ材質に応じた処理条件最適化と、品質管理の積み重ねによる成果です。

実際に当社では、全体の約50%が硬質アルマイト処理という実績があり、

特に耐摩耗性や潤滑性を重視する産業機器分野から高く評価されています。

5.まとめ

「白アルマイト」と「硬質アルマイト」は、見た目だけでなく性能・用途・コストが大きく異なります。

図面に書かれた表記や、実際の用途に応じて正しいアルマイト処理の選定が非常に重要です。

もし材質や処理条件について迷われた場合は、

ぜひ、ミヤキまでご相談ください。

最適な皮膜と膜厚をご提案いたします。

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