アルマイトの事をご存じのお客様から頂く質問で『孔形状の内径部もアルマイト皮膜は付きますか?』と聞かれる事があります。筒形状の内径の耐摩耗を目的にアルマイトを選択されるお客様にとっては一番重要なポイントです。
しかし、一般的にパイプ形状の中央部や深めの小径止め穴内部のアルマイト皮膜は薄膜になる傾向があります。この原因やメカニズムについて判り易く説明していきます。
①成り行きで付く膜厚について
特別な治具や設備を使わない方法でも内径:長さの関係が1:3程度であれば電解液が循環され外径部と大きな違いの無い被膜を得ることができます。
例1:Φ20Length60mm程度の筒形状の製品の場合
→この程度のパイプ形状であれば特別気にする必要はありません。
止め穴については形状にもよりますが成り行きでは電解液が循環せず、孔径と同等程度の深さまでしか製膜されません。
例2:φ20深さ50mm程度の止め穴
→口元20mm程度までしか被膜が得られません。
止め穴にはもう一つ注意が必要な事があります。上記の口元20mmの条件は孔が横向き又は上向きでラッキング出来る事が条件で、仮に口元が下を向く姿勢(コップを逆さまにして水に入れた状態)でラッキングをした場合、エアポケットが出来て(内部に空気が貯まる)電解液と製品が接触しない為、孔内部には成膜されません。
エアポケット以外にも通常工程で洗浄しきれない程の油分や薬品が付着している事も原因となる事があります。
②なぜ内径部には皮膜が付き難いのか?
アルマイト処理はアルミ製品を付けた治具に陽極(+極の電気)処理槽内に陰極(―極の電気)同時に電気を流し通電させる事で皮膜が生成されます。つまり、孔の中は電解液が循環し難い環境で陰極と通電し難い場所となるのです。
➂ミヤキで対応可能な内径へのアルマイトについて
詳しい説明はここではお話出来ませんが、(株)ミヤキが得意とする処理に潤滑性アルマイトであるカシマコートを2輪車のサスペンション(アウターチューブ)内径に均一な成膜処理を数十年前より行っている実績があります。
この技術は特殊な治具を使い通常では不可能と言える程の開口部直径の何倍もの長さのパイプ内径に均一な被膜を生成し、サスペンションの滑らかな摺動と耐摩耗を実現しております。
長尺パイプ形状の内径の耐摩耗性についてお困りの場合は弊社まで一度御相談下さい。お問い合わせは→こちらまで