アルミニウムは本当に錆びる?原因と対策を現場目線で解説

①アルミニウムが錆びにくい理由
アルミニウムは空気中にさらされると、
表面に非常に薄く緻密な酸化皮膜(不動態皮膜)を自然に形成します。
この皮膜が内部を保護するため、
鉄のような錆びが進行することは基本的にありません。
しかし、この酸化皮膜が破壊・劣化すると、
条件によっては短期間で腐食が進行するケースもあります。
②アルミニウムの錆び(腐食)の正体
アルミニウムで発生する代表的な腐食は以下のようなものです。
- 白錆(粉状腐食):湿気や水分が原因で発生
- 孔食(ピッティング腐食):点状に深く進行する腐食
- 異種金属接触腐食(電食):鉄や銅と接触した状態で水分が存在すると発生
見た目は軽微でも、内部で進行しているケースがあるため注意が必要です。
特に異種金属との接触は見落とされやすく、実際の現場でもトラブルの原因になりやすいポイントです。
③アルミが錆びる主な原因【現場で多い順】
1.水分・湿気の滞留
屋外使用、結露、洗浄後の水残りなどは白サビの最大要因です。
特定の材料や条件によって腐食トラブルが顕著に現れるケースも少なくありません。
代表的な例として、A7075材では夏場に腐食トラブルが発生しやすく、事前の対策が重要になります。
2.異種金属との接触
アルミと鉄・ステンレス・銅などが接触し、そこに電解質(水分・塩分)が加わると電食が発生します。
このような腐食は、特定の材料ではより顕著に現れることがあります。
例えばA7075材では、環境条件によって腐食トラブルが発生しやすいケースもあります。
3.塩分環境
沿岸部、凍結防止剤、汗などに含まれる塩分は酸化皮膜を破壊します。
アルミは錆びにくい材料ですが、
使用環境や条件によっては腐食が進行します。
☞腐食対策だけでなく、使用環境・材料・膜厚まで含めて考えないと再発するケースも多いです。
☞一度全体から最適なアルマイト仕様を整理したい方はこちら
→ アルマイト総合ガイド
4.表面処理なし・皮膜不足
未処理材や皮膜の薄いアルマイトでは、使用環境によって腐食が進行します。
ただし、アルミニウムの腐食は単一の要因で起きるわけではなく、材料特性・皮膜状態・使用環境などが複雑に絡み合って発生します。
腐食のメカニズムをより詳しく知りたい方は、以下の記事で原因ごとに整理しています。
④サビを防ぐための基本対策
✔ 設計・使用段階でできる対策
- 水が溜まらない形状にする
- 異種金属との直接接触を避ける(締結部のボルトに樹脂スペーサーなど)
- 定期的な清掃・乾燥
✔ 表面処理による対策(最も有効)
使用環境に応じた表面処理の選定が、耐食性を大きく左右します。
| 表面処理 | 特徴 | 向いている用途 |
| 普通アルマイト | 基本的な耐食性 | 屋内・軽負荷 |
| 硬質アルマイト | 皮膜が厚く耐摩耗性も高い | 機械部品 |
| カシマコート | 潤滑性+耐摩耗性+高硬度 | 無給油・摺動部 |
| MDコート | アルミダイカスト向け耐食性 | ダイカスト部品の防錆 |
ここまで見てきた通り、アルミニウムの腐食対策には複数の選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
代表的な防錆処理の違いや選び方については、以下の記事で比較しています。
ただし、これらの対策はどれも万能ではなく、使用環境・接触条件・コストによって最適な選択は大きく変わります。
そのため、「どの処理を選べばいいか」で迷うケースが非常に多いのが実情です。
⑤なぜアルマイト処理が有効なのか
アルマイト処理は、人工的に厚く均一な酸化皮膜を形成することで、
以下のような機能を付与します。
- 水分・塩分の侵入を防ぐ
- 腐食の進行を抑制する
- 使用環境に合わせた機能付与(耐摩耗・潤滑)
特に、グリスが使えない環境や長寿命が求められる部品では、処理選定が重要です。
ただし、適切な対策を行わずにサビを放置すると注意が必要です。
アルミのサビは、単なる見た目の劣化ではありません。
放置することで、機能低下や製品寿命の短縮につながるケースもあります。
👉 アルミのサビを放置すると何が起きるのか?具体的な影響はこちら
実際の現場では、材料・環境・要求性能によって最適な処理は大きく変わるため、個別に検討するケースがほとんどです。


