2026.01.27 更新

硬質アルマイトにおけるクラックの原因とメカニズム-対策と設計-

硬質アルマイトで「クラック」が発生する理由とは? 「硬質アルマイト処理後に皮膜にクラックが入った」 このような相談は、設計者・加工業者・購買担当の方から少なからず寄せられます。 しかし、硬質アルマイトのクラックは必ずしも処理不良ではありません。 多くの場合、製品形状、素材特性、成形時の残留応力、使用環境 といった処理前後の条件が重なって発生しています。 本記事では、硬質アルマイト皮膜にクラックが発生する 原因・メカニズム・事前にできる対策を、実務目線で解説します。

①そもそも硬質アルマイトのクラックとは?

 

硬質アルマイトは、一般的に通常のアルマイトよりも硬く、厚い皮膜を形成しています。

その一方で、皮膜はセラミック質に近く【脆性(割れやすさ)】を持っています。

このため、一定条件下では皮膜内部に応力が蓄積し、

微細な割れが発生することがあります。

重要なのは、クラックが使用上問題になる場合と

クラックが問題にならない場合が存在するという点です。

②硬質アルマイトでクラックが発生する主な原因

1.皮膜が厚すぎることによる内部応力

硬質アルマイトでは「耐久性能を上げるために膜厚を厚くしたい」

という要望を受けることがあります。

しかし、皮膜が厚くなるほど

成長時の内部応力が増加し皮膜の柔軟性が低下し、

かえってクラックが発生しやすくなります。

「高性能=厚膜」ではない点は、設計・発注時に注意が必要です。

2. 製品形状による応力集中

以下のような形状は、クラック発生リスクを高めます。

  • 角部のRが小さい
  • 急激な肉厚変化
  • 薄肉部やエッジ部

これらの部位では、皮膜成長時および使用時に応力が集中し、

割れが生じやすくなります。

3.成形時に発生した残留応力

主にダイカスト品や、押出材や、冷間加工品などは、

成形工程で目に見えない残留応力を内部に抱えていることがあります。

この残留応力が、硬質アルマイト処理中や使用中に解放され、

皮膜クラックとして現れるケースも少なくありません。

4. 使用環境による影響(温度・熱衝撃)

アルミニウム母材とアルマイト皮膜では熱膨張率が異なります。

そのため、高温・低温環境での使用

急激な温度変化(熱衝撃)が繰り返されると、

皮膜に引張応力が発生し、クラックにつながることがあります。

④クラックが「問題になるケース/ならないケース」

すべてのクラックが、直ちに不具合につながるわけではありません。

◎問題になりやすいケース

  • 摺動部やシール部
  • 寸法精度が厳しい部位
  • 腐食環境下で使用される製品

◎問題にならない場合もあるケース

  • 外観要求が求められない部位
  • 耐摩耗性を主目的としない用途
  • 応力がかからない固定部

用途や機能を踏まえた総合的な判断が重要です。

◎クラックを防ぐためにできる対策(設計段階でできること)

  • 角部に十分なRを設ける
  • 急激な肉厚変化を避ける
  • 必要以上に厚い膜厚を指定しない

設計段階での配慮が、クラック防止に最も効果的です。

◎発注時に伝えるべきポイント

硬質アルマイトを依頼する際は、以下の情報を共有することをおすすめします。

  • 使用環境(温度・湿度)
  • 摺動の有無
  • 要求性能(耐摩耗・耐食・外観など)

表面処理業者との事前相談が、トラブル防止につながります。

 

⑤ミヤキからのご提案

硬質アルマイトのクラックは、

処理条件だけで解決できないケースも多く存在します。

ミヤキでは、(製品形状・材質・成形条件・使用環境)

を踏まえたうえで、最適な表面処理方法をご提案しています。

「この形状でクラックは問題ないか?」

「硬質アルマイト以外の選択肢はあるか?」

といった検討段階でのご相談も可能です。

お気軽にお問い合わせください。

⑥まとめ

硬質アルマイトのクラックは必ずしも不良ではない

形状・応力・使用環境が大きく影響する

設計段階と発注時の情報共有が重要

硬質アルマイトを正しく理解し、

用途に合った処理を選定することが、品質安定への近道です。

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